南アルプス

【小渋川~荒川岳】夏の総決算はテント担いで川渡り

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【 日 付 】2012年8月21日(火)~23日(木)
【 山 域 】南アルプス/小渋川~荒川岳 

【メンバー】ひとり
【 天 候 】晴れ(3日間とも)
【 ルート 】湯折~広河原~大聖寺平~荒川小屋~中岳(ピストン)


c0097754_13264462.jpg 行ってみたい山が多すぎて、いざどこへ?となると決められない。お盆も終り、このままズルズルと、ソファーに寝転んでエアコン付けっ放しで高校野球なんぞを観るでもなく聞くでもなくグダグダと過ごしていたら、そのうち夏は終わっているだろう。ここいらでどっかヘ繰り出さないかん。

 そこで思い出したのが昨年のタンポポレポ。大鹿村騒動記ではないが、小渋川から福川を徘徊してカメラやら何ヤラを紛失、命からがらドンブリコと逃げ帰って来たという武勇伝である。この夏の総決算にツアコンポポンタさんの後を追ってみるのも意味のないことではない。

 山レコの投稿やポポンタレポを読み返す。小渋川から広河原経由で荒川岳や赤石岳へ行くレポはいくつかあるが、福川周りの記録はレアものだ。ポポンタちゃんですらアクシデント続きとはいえ、広河原から稜線間近のビバーク地点まで8時間以上も掛かっている。駐車地の湯折から広河原まで3時間で行ったとしても11時間以上の超ロングルート。体も頭も筋力衰退、経年劣化が著しいbiwa爺がテント泊装備を担いで行けるはずがない…のが常識。
 なのに、プランニングどころか実行してしまうのがボケた頭のなせるなんやらなのだろう…。



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第1日目(8月21日)
 湯折5:50‐七釜滝6:30‐榛沢出合6:55-高山ノ滝7:55‐キタ沢出合8:45‐9:40広河原小屋10:15‐10:45福川撤退地点-広河原小屋11:20‐・2011m14:15‐15:10co2230m(泊)←大聖寺平まで2.5km~3kmの中間あたり

 大鹿村役場に電話で聞けば、ここんところ大雨は降ってないので川は落ち着いてるらしい。今後も天気は良さそうだ。思い込んだら幸運しか転がっていない気になるのが怖い。
 前日の夕刻、家を出る。中央道の阿智PAで仮眠。これで深夜割(50%off)が使える。松川ICから小渋ダムを経て大鹿村。闇の中、分かりにくい道をクネクネと走り、なんとか湯折のゲートへ到着した。松川から1時間も掛かっていない。ゲート前の広場に車が1台停まっている。明るくなるまで寝るか…とウトウトしたと思ったら空が明るくなってきた。

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 広河原までは林道~河原なので、沢靴で行く。ボロ山靴はザックの中へ。やっぱり重いなあ…。水は川にたっぷりあるので500mlのペットボトルだけ。カラの2Lポリタンは取り敢えずは浮き袋替わりだ。
 ゲートから左の林道を登って行く。真っ暗のトンネルをくぐり、下りになって川に降りて行くと前方に橋が見える。七釜橋だ。渡った先にまたトンネル。確か山レコのレポではこのトンネルを抜けたところから左岸の河原に下りることになってたなあ…と思ったが、「←登山道」の看板がある。左岸はしっかり護岸工事され、上流に向け立派なジャリ道が延びている。どうやらトンネルは通行止みたい。

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 小渋川の水量が気になるのだが、そんなに多くはないようには見える。が、通常時の水位を知らないので比べようがない。とにかく、ここまで来たら進むしかないのだ。幸い空は快晴。おまけに西側のため暑い陽射しは届かないので歩いていても汗もかかない。
 整備された護岸は榛沢出合近くまで続く。切れたところで河原に降りて、いきなり1回目の渡渉。なんでも13回とか21回とか、渡渉回数が言われているのだが、どれがホンマかなんて問うのはナンセンス。水量やコース取りなどで変わってくるのだから。
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 左手に滝が見えた。おお、高山ノ滝だ! まだ8時前。なかなかいいペースだゾ。ちょっと休憩。滝の写真も撮っておく。

 榛沢出合の先から高山ノ滝を過ぎてキタ山沢あたりは比較的川幅が狭く、渡渉に要注意。逆に川幅が広いところは水流が分散しているのでコース取りに思案が要る。左岸の岩にに矢印があるかと思ったら、同じ場所の右岸壁に○印が打ってある。アテになるようで、ならないようで…。迷路かなんかのパズルを解きながら進んで行くみたいで、結構面白い。いいぞいいぞ…と思っていたら、深い急流に阻まれて進めず、少し下って進路を微調整するハメにも。

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 石ころの河原を進むと、ようやく陽射しが届く。前方に大きな二股。とうせんぼするような稜線が迫る。あそこが広河原の分岐かな? 思ったより早よ到着できたな。(^^)/ とはぬか喜びでした。ここはキタ沢出合。地形図には太い水線が書いてあるが、石ころばかりの伏流だ。
 広河原はもうちょっと先。いったん緩んだ気力を再稼働させるのは原発ならずとも大変だ。トボトボと河原の石を乗り越えて進む。
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 倒木を跨いで左岸の日陰を行くと…、またもや二股だ。今度こそ本物やろ! 段丘の上の木に白いプレート。何やら書いてあるぞ。近づくと「広河原小屋 赤石・荒川岳方面➔」とある。そうか、このまま本流を左へ進めば荒川崩壊地へ突入だもんなあ…。段丘へ上がり表示に従って樹林の中のヤブっぽい道を進むと広河原小屋が目に入る。高山ノ滝から1時間半くらい。まあ、こんなもんか。

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 ここからは右手の本岳沢から福川に入り稜線の百間平をめざすことになる。今回の核心部である。
 小屋に入り沢装束を解き登山靴に履き替える。もう渡渉もないだろうし…。(という、なんの根拠もない安易な判断がこのプランの破たんを呼ぶのだが…)
 30分ほどの大休止で、気合を入れ直し、「水場」の表示に従って河原に降りる。水は泳げるくらい流れているので汲む必要はないよ~♪ なんて喜んでいてはいけない。これ、どうやって渡ろう…。いきなり本岳沢の渡渉だ。
 ウロウロ…探して、なんとか跳び渡れそうな場所を見つける。対岸の岩にしがみつくようにしてクリア。ここで、頭が正常に回転しだすと不安がよぎる。「これからもやっぱり、渡渉あるわなあ…(@_@;)」
 すぐに二股で右の福川へ。左岸を登り始めるが、狭い谷幅に勢いよい流れ。倒木だらけで大変そうだ。不安は恐怖に変わり、少し進んだところで足が竦む。ダメダメ! 無理は禁物。こりゃ断念だんねん。道は他にもあるよー。

 広河原小屋近くの例の渡渉地点まで引き返す。さっきの決死の渡渉はなんだったんや。まだ靴を濡らすわけにはいかんのに、こちら側からの渡渉地点が見つからない。左岸を往ったり来たり…。
 ええい、ままよ! と川の真ん中の岩に跳び移ったのはいいが、この後どうするの? 岩にしがみつきながらしばし考える。こんなスタイル、周りから見たらまるで岩の上のカメかカエルだ。
 背中の荷物だけでも対岸にほおり投げようかとも思ったが、届きそうもない。こうなったら開き直るしかないがな。そのまんま、流れに足を突っ込み、ストックを突っ張ってザブンザブンと渡りきる。さすがに靴の中にジュワーと浸水してくるのが分かる。まあ、濡れるくらい流されるよりマシやろ。

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 もう11時をとっくに回っている。結局、1時間のロスだ。福川は諦めるとしても、このまま帰る手はない。地図には真ん中の尾根に荒川岳への登山路が引いてある。コースタイムを見ると大聖寺平まで4時間余、荒川小屋まででも5時間くらいだ。これなら十分に間に合いそうだ。
 で、小屋の前の表示に従って登山路へ入る。モミかコメツガのような針葉樹林帯の苔むした石の上を少し行くと、金属板に大聖寺平まで「6km」の表示。ここからいきなり急斜面直登と倒木だらけのトラバースの繰り返しが始まる。午前中の渡渉に体力の大半を使い果たしたのか、息は上がるが足が上がらない。「水場」(川)でポリタンとペットボトルを満タンにしたのを後悔したくなるが、捨てるわけにもいかないし…。(>_<)

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 0.5kmごとの金属板表示に励まされながらとにかく前(上)に進む。地図にも「2000mより下部は急坂の連続」と記述があるが、これだけはその通り。「標高2000m」の表示を過ぎると、やや傾斜がやわらぎ、登山路らしくなる。
 「3km」表示に15時前。野営は大聖寺平で…と思っていたが、もう稜線まで行くのは無理だろう。テントを張れる場所を探しながら進むが急斜面ばかり。やっと九十九折れのコーナーに、踊り場みたいな広場を発見。平らで十分なスペースだ。
 まだ15時過ぎだというのに樹林帯のせいか薄暗い。焚火でもしようかと枯れ木を集めるが、面倒になって水だけ飲んでテントの中で一眠り。気がつくと18時を過ぎている。外に出ると、樹間から夕陽が覗く。間もなく沈むところだ。
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 夕陽を眺めながら夕食にする。まずは持ち上げたアワワ(350ml)で水分補給? しながら湯を沸かす。α米にお湯を入れ、余った湯でレトルトカレーを温める。しじみパワーの味噌汁も。食欲はあまりないが、食べないと明日が歩けない。白飯の半分を小鍋に移しカレーを掛ける。エイっ!と無理やり飲み込んだら、なんとか食べられた。
 夕陽が沈むのを待って、シュラフに潜り込む。


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第2日目(8月22日)
 野営地6:45‐船窪(大聖寺平まで1.5km)7:30-ガレ場8:35‐大聖寺平9:10-9:50荒川小屋10:30‐お花畑11:30-中岳コル12:05‐12:15中岳~避難小屋13:30‐前岳13:50‐14:50荒川小屋(泊)

 樹林帯のせいか、それほど冷え込みもなく、結露でビショ濡れにもなっていない。朝食は白飯の残りにフリカケを掛けたブブ漬けとシジミ味噌汁。とっておきの完熟トマト1個もありがたい。
 6時には…と思っていたが、やはり出発は7時前になってしまった。今日は荒川小屋のテント場泊まりなんで、慌てることはない。できれば空身で悪沢岳まで往復出来たらいいな…とは思っているのだが。それも着いてからのお楽しみにしておこう。
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 やや軽くなった(ような気がする)ザックのせいか、快調に登山路を進む。昨日のような激急登や倒木悪路はもうない。40分ほどで船窪(二重山稜になっている)。ウェストンがランチを食べたところらしいが、あいにくまだ早すぎる。
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 やがて樹間から朝陽が差し込んでくる。左手に荒川崩壊地が覗く。樹木の背が低くなって、ハイマツとナナカマド中心になると森林限界。いきなりガレ場に出て、これ登るの?と思ったら左のハイマツ帯に道が切ってある。
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 10分ほどで再びガレに出て「500m」金属板。ここを登りきると赤石~荒川岳の稜線に出る。大聖寺平だ。出発から約2時間。目の前の小赤石岳の肩が大きい。西に中央アルプスの木曽駒や空木岳。御岳や乗鞍、遠く北アルプスの山並みも。そして北側の目の前には荒川岳の山容がデーン!

 小屋はここから30分ほど下って行く。稜線東側のトラバース道は花がいっぱいだ。ここまで来ると次々に登山者と出会う。この時刻の通過者は、千枚小屋泊まりで百間洞山の家か聖平小屋まで行く人がほとんどのようだ。聞けば平日なのに千枚小屋はいっぱいだったという。
 荒川小屋で受付を済ませてからテント場に移動。水場が近い広いテント場からはMt.fujiが一望だ。樹林帯のサイトのほうが涼しそうだが、まあ、ここにするか。
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 小屋前で登山者と話し込んでいたせいで遅くなってしまった。今からだと悪沢岳までピストンは微妙だなあ…。張ったテントにザックをデポして、水だけ持って中岳へ向かう。上から次々に登山者が降りてくる。大半が中高年。10人くらいのツアー客ともすれ違う。もうここは静かな南アルプスとは言えないよなあ…(@_@;)
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 お花畑には金網が張られ、登山路に扉が設けてある。開けたり閉めたりしながら通過。前岳とのコルに12時過ぎ。右へ5分で中岳山頂。
 朝方はスッキリ晴れていたのに、もう眺望は効かない。かろうじて富士山、八ヶ岳は見えるが南ア北部の山はガスの中だ。まだ昼過ぎで時間はあるが、これでは悪沢岳まで行っても無駄やな…。
 あとから登ってきた単独男性は、避難小屋に荷物を置いて悪沢岳をピストンするという。そう聞くとまた心が揺らぐのだ。中岳避難小屋は目の前。せっかくだから、ちょっと小屋くらいは寄ってみましょう。
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 相変わらず悪沢岳は見えたり隠れたり。行こうか、止めとこか…揺れる自分の心みたいだ。先の男性が空身で悪沢岳に向かって行った。思わず連られそうになったが、自重自嘲。体力残しておかな帰りの川下りでけへんで…。(@_@;)
 避難小屋前で小屋番さんを交え常連客の男性と山談義。この人、小屋番さんと昵懇で、初めは小屋のバイトさんかと思ったくらいだ。連泊してこのあたりをくまなく歩いているようで山の様子や花にも詳しい。話好きでしゃべっていたら終わらない。気がつけば13時半。そろそろ下らないと。

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 帰りにコルから前岳に寄ってみる。コルからほんの5分足らずで山頂。西側は見事に崩れ落ちている。崩壊した谷はそのまま荒川となり、広河原で本岳沢と合流して小渋川となる。西北に続く稜線は三伏峠への縦走路だ。

 荒川小屋が近づくにつれ若者の嬌声が大きく聞こえる。見下ろすと、新しいテントが2、3張。どうやら学生グループのようだ。下ってみると懸念は的中。すぐ近くに大型テントが張られ、テント内でトランプ遊びかなんかの大騒ぎの真っ最中だ。まだ15時前だからいいけれど…。(夜になったら静かになるとは限らんしなあ…)
 思い切って転居することにする。サイトはいくらでも空いている。小屋の近くの樹林帯のスペースに張り直しだ。なんやらかやで、ここでも1時間のロスだが、他にすることもないのだから構わない。

 テント移設を終えてから小屋へアワワを買いに行く。S社プレミアムのロング缶800円也!の大奮発だ。日頃は第3類のビール紛いしか飲めない身分だから、こんなときくらいは贅沢もいいやろ。(^.^)/~~~
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 小屋の前からMt.fujiの夕景を眺める。昼間はガスに隠れていた姿を現わしたのだが、なかなか「赤富士」にはなってくれない。日没間際まで粘ったが断念。
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 テントに戻っての夕食。今日はα米のドライカレー。サンマの味噌煮もあるのだが、委縮した胃は受け付けそうにない。
 昨夜とはエライ違いの賑やかなテント場で、焼酎のお湯割りをグビグビやりながら2日目の夜は更けていったのでした。


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第3日目(8月23日)
 荒川小屋テント場6:50‐大聖寺平7:45‐船窪8:35‐初日テン泊地9:05‐標高2000m地点9:25-急登取り付き点(大聖寺平へ6km)10:45‐10:55広河原小屋12:05‐高山ノ滝13:45‐七釜橋14:55-15:35湯折

 いやあ、さすがに寒かった。ここは標高2500m。前夜の野営地は2100m付近で、しかも樹林帯だったから冷え込みもきつくはなかったんだろう。
 夜明け前のMt.fujiのシルエットが鮮やかだ。まもなく富士山の少し左から朝陽が昇るようだ。カメラをセットして待つが、もう少し時間がかかるみたい。諦めてテントに戻る。
 荷物を外に出し、テントを日向に移して結露を乾かす。その間に朝食とコーヒータイム。乾ききらない部分はタオルで拭いてテント収納。やはり今日も出発は7時前になった。川下りさえなければもっとゆっくりできるのだが、やはり早く下りたほうが安心だもんね。

 出発間際に、テントサイトの横で花の写真を撮っている年配女性にあいさつ。今日は百間洞の小屋までらしい。昨日は三伏峠から縦走してきたとか。えー、その稜線、かなりハードやないの? 5時に出て4時過ぎに荒川小屋というから10時間以上。そんなに“山姥”には見えない華奢な御婦人なのに。「小屋泊まりですからね。ゆっくり歩いてます」とおっしゃる。
 そうだな、そんな歩き方ならもう少し歳を食っても山で遊べるかなあ…。重たいテント担いであくせく汗まみれになってるのは、そろそろ卒業かな? そんなことを感じさせてくれる。
 かと思えば、昨日、小屋前で話した福岡の男性(一つ年上でした)は、信州や東北の山へ行くのに半月~1ヵ月以上の日程で出掛け、いくつかの山をまとめて登るのだそうだ。旅館代の節約のためワゴン車を購入。山小屋以外は車中泊で済ます。今回も富士山、南アルプスの山を目当てに8月初めから来ているが天候や道路事情で断念続きだという。明日は聖平小屋までいく予定。
 荒川小屋前のテラスにいた別の男性は3年前、赤石岳避難小屋まで2時間20分で行ったとおっしゃる。あとで地図を見たらコースタイムはそれより20,30分多い。まあ健脚なら…とは思ったが、お歳を聞いて驚いた。昭和15年生まれの戦前派だった。今年で72歳。ワンゲル出身だとは言うものの、昔鍛えたなんやらは何歳まで通じるんだろう。ましてや、昔も今も鍛えていない私なんぞ、赤石岳まで何時間掛かるもんやら…。

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 朝の荒川岳や雲海を従えた富士などを振り返りながら、小赤石の肩に向かって続くトラバース道を緩やかに登ると大聖寺平。ここで三伏峠から来た女性と別れ、広河原への下山路に入る。
 ここの分岐は踏み跡がはっきりしていないのでガスなど出たら迷いそうだ。そう言えば今月初め、遭難者が出た。荒川崩壊地側の滝の下で見つかったそうだ。道迷いによる滑落か、他の理由かは分からない。そのせいか、新しいピンクのテープなどの目印が目立つ。樹木には赤い小さな木札も所々掛けられていた。
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 今回はピストンなので、往路を思い出しながら登山路を間違えないよう下る。大聖寺平からガレ場を超えて船窪の手前までくれば、もう間違うことはない。登山路ははっきりしている。右手に時々現れる中央アルプスの山並みを眺めながら下る。

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 1日目の野営場所で一休み。それにしてもこんないい場所が、しかもピッタリの時刻に見つかったなんて、終わってみればラッキーとしか言えない。ここより下部は急斜面ばかりでテントを張るようなスペースは見当たらないのだ。

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 標高2000mからの急斜面は下りでも辛い。壊れかけたハシゴや最後の倒木帯を乗り越え、苔の樹林帯を抜けて広河原小屋に11時前。やれやれ、一休みしましょう。最後のキュウリを齧り、カップ麺でランチ。
 いつの間にか12時だ。もう1時間以上の休憩だ。デポしておいた沢靴に履き替え、登山靴はザックに収納。水はもう500mlペットボトルだけでいい。
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 いつか来た道(河原)、様子はよくわかる…つもりが、なかなかそうでもない。広い河原、しかも逆向き…。どこ通ってきたかなあ…? と言っても正解の道があるわけではないので前方の様子を見極めながらルート取りして行く。
 キタ沢出合の下流あたりで登ってくる若者に出遭う。声をかけると広河原小屋に忘れものを取りに行くらしい。地元・飯田の人で足元はスニーカー。湯折~広河原は2時間だという。まあ、なんとも若いって羨ましい。
「帰りには赤石荘で温泉ですか?」というので、下ったら一緒に行こうと約束。湯折に着くまでに追い抜かれるかもしれないけれど。

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 高山ノ滝で一服。日陰の左岸に移動して、対岸の滝を見ていて気が付いた。見えている滝の上に、もう一本滝が掛かっている。上の滝は樹木に隠れているが実は2段の滝だったのだ。往路の時は気がつかなかったが…。

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 榛沢の下流から左岸の護岸を歩き七釜橋へ。その手前で例のトンネルの出口を発見した。発見というほどのもんではないが、これも往路では下ばかり見ていて分からなかったのだ。護岸から左手を見上げると、古いレポにあったように、10mほど上のトンネル出口に案内プレートのようなものが見える。そこから崖のような斜面を河原に下っていたのだろう。いまは、真っ暗トンネルも、崖下りもなく、整備された護岸を歩けるから安心だ。

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 七釜橋からの林道登りが結構こたえる。もう余力はないのにこの20分ほどの最後の苦行。暗いトンネルを抜けて下って行くと、やっとこさで車が見えてきた。
 靴を履き換え身支度を終えても飯田の若者はやってこない。車の隣りに停めてあるバイクが彼のものだろう。「赤石温泉へ行ってます」とメモを残し、先に出発。赤石荘の駐車場に車を停め着替えを手にいざ風呂へ~! と思ったら、入り口に「準備中」の看板。ん? まだ4時だよ? よく見ると「木曜日定休」だって。
 しかし…、奥を覗くと調理場にはスタッフの姿があり、お客さん(泊り)らしい姿も。営業はしてるんや。なら、入れてくれてもいいのになあ…。
 と愚痴りながら車に戻ったのだった。
 結局その後も、飯田の彼のバイクはやってこなかった。

 ついでながら、その後も立寄り温泉は発見できず、いつの間にか松川ICに着いてしまい、アワワさえ購入できずじまい。仕方なくまたも阿智のPAで唐揚げとゼロフリーで一休み。自宅まで風呂もアワワもガマンの帰路でありました。(完)
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Commented by pana at 2012-08-30 15:40 x
こんにちわ~♪すごいとこ歩きましたね。ぽぽんたちゃんより上達したようですね♪それにしても沢を間違わずにすごい~♪来年5月には仕事辞めるのでまた連れていってね~♪それはそうと暑い芦生にも行きませんか~♪焼肉ご馳走します(エビです)
Commented by biwaco06 at 2012-08-30 17:35
panaちゃん~
お母さん、ご愁傷さまでした。落ち着きましたか?

自分でマインドコントロールしたみたいに、気がついたら小渋川を歩いてました。お天気が抜群で、(荷物は重いけど)問題なく帰ってこれました。
芦生は長いこと言ってません。由良川の河原で焼肉+アワワはサイコーですね。体が癒えたらいきたいな。9月は2日と23~24日は予定詰まってます。
Commented by nucchi at 2013-03-08 22:54 x
こんばんは。飯田の青年です。

広河原小屋から荒川大崩壊地直下の滝まで探検に行って居たので、追い付けませんでした。赤石荘にも寄ったのですが、もう車が無かったので…メモありがとうございました。

追い付いていれば他の温泉をご紹介できたのに残念でした。また南アでお会いできるのを楽しみにしてます。
Commented by biwaco06 at 2013-03-09 00:34
nucchi さん~
よくここが分かりましたね(@_@;) 
コメント有り難うさんです。お久しぶりですね~。懐かしい。
!(^^)!

貴方の足なら駐車地までには必ず追いつかれるやろな…と思ってました。赤石荘が定休日でガックリでした。
南アは遠くてなかなか行けませんが、思いがけずどっかでヨタヨタ爺さんを見つけたら、声でも掛けてやってくださいマセ~(^.^)/~~~
もしブログなど開いておられるなら、入り口を教えて下さいね。
Commented by nucchi at 2013-03-10 15:09 x
こんにちは。とても楽しいブログなのに発見が遅れてすみませんでした(^^;

いちおヤマレコをやっています。8月7日のレコの駐車場の写真に遭難者の車が写っています。遭難者にお会いすることは無かったのですが、同じ日に入っていた者として何となく滝壺まで行って手を合わせたくて…

塩見岳への再チャレンジの時には、ぜひご連絡を(^-^)/



Commented by biwaco06 at 2013-03-10 17:56
nucchi さん~
ヤマレコ、拝見しましたよ~。遭難者のことは荒川小屋のテラスでも話題になっていました。確かに大聖寺平の分岐からハイマツ帯が終わるまではルートが分かりにくく、ガスで巻かれたらロストするかも…?と思いました。
ヤマレコのpmにコメント入れましたが、ちゃんと送れたか自信ありません。南ア方面へ行くときはよろしく~!(^^)!
Commented by float cloud at 2014-03-21 21:23 x
こんばんは、はじめまして。
今晩から知人が滝波山に奥越側から入る、ということだったので検索したら、見たことがある貴兄の名が目に留まって、どこで見たのか思い出してみたら、それは知人のふ~さんのやぶこぎねっとであって、貴兄のブログの記録一覧からこの記事を開いて読んでみたら、紀行文的でとても良かったです。それでプロフィールを開いて見たら、なんと、同じ1948年生まれではありませんか!途端に親しみを覚えて、コメントしてしまったしだいです。2007.9.2.文中の七釜橋の先のトンネルからかつての高巻き道を拾いつつ歩いている途中、巣を踏んだようで、地バチの群れに襲われてからだ中を刺されまくったのですが、まあそれでもなんとか榛沢出合まではなんとか行きついたんです。道は藪山のぼりでないと、辿れない代物でした。今回、貴兄の紀行文を読んで、驚きました、護岸工事用の整備された道ができたとは・・・。嬉しいやら、悲しいやら。
ところでぼくも、2013年の2月からブログを始めました。名は、「藪山独自ルートfloat cloudのブログ」です。新米です。関西はアプローチしにくいので、山域はあまり重ならないとは思いますが…。
Commented by biwaco06 at 2014-04-11 23:53
float cloudさん~
コメントありがとうです。遅くなってすみません。<m(__)m>
小渋川の取り付きはトンネルを越えてからと思ってたんですが、左岸沿いに棒沢まで砂利道が付いていて、トンネルは通行止めでした。行き当たりバッタリばかりの山行ですが、ヒヤヒヤ、ドキドキの連続も終わってみればいい思い出です。(^.^)/~~~
by biwaco06 | 2012-08-28 18:54 | 南アルプス | Trackback | Comments(8)

近畿中心の山を歩いた気まぐれなmt.memoryです


by biwaco06
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