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北アルプス

【北ア/黒部下ノ廊下】廊下は走らず、落っこちず~後編

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【13日】

明け方、まだ降っている。でも、空は明るい。もうすぐ止みそうだ。東側は青空、。西の針ノ木は雲の中だ。
あっ!虹やー!駅舎の上に虹が掛かってる。ラッキー♪今日の晴れを約束してくれるような虹だ。
バスやマイカーで次々と人が集まってきて駅はにぎやかになってきた。
コーヒーを沸かしパンで軽く朝食。車を回送屋さんに預け宇奈月まで運んでおいてもらう。
トロリーバスの始発は7時半。もう少し早くてもいいと思うが…。大半が観光の人たち。10分あまりで黒部ダムに到着。団体さんは左の通路からダムいサイトへ向かう。一応階段を登ってレストハウスに上がり、ダムの全景をながめてから出発する。
トロトロと20分ほど下ると関電の小屋がある。係りのおじさんに挨拶。駅で一緒になった年配ご夫婦と同行になりそうだ。何組か先行しているらしい。道端に咲く花は多くはない。なのに名前が覚えられない。分かるのはシロヨメナくらい(それも怪しいもんだが…)
ダムの放水を見ながら板の橋を渡って左岸に。内蔵助谷出合までは一昨年通ったがその先はどうなってるのかなあ?



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9:20
1時間以上掛かって内蔵助谷出合。分岐の日電歩道側にはロープが張ってあり通行不能の看板がある。とはいえ、その先の渡渉点には木を組んだ立派な橋が架けられている。どうなってるんや?
ところで黒部には巨人、魔人、怪人がおわしますらしい。そんな名前がついた大岸壁だ。その一つの「黒部の巨人」(丸山東壁)が出合に張り出している。こんな壁を登る人もいてるんやなァ…と、その変態振りに頭を下げる。
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川の少し上に付けられたヘツリ道を行くと、釣り師さんが竿を出している。こんなところまで来なくても釣り場は…と思いかけたが、山屋も同じか?と思い直した。
この歩道はダム湖面と同じ高さに水平に作ってあるとか。ダムの下の橋部で・1282のポイントが打ってある。内蔵助谷出合がco1260、かs流の十字峡手前でもco1000なので進めば進むほど川との高低差が大きくなることになる。その間、ずっとケムシのお腹を這って行くことになる。
実際にもそうで、始めはすぐ下だった黒部川がだんだん遠のいていく。岩壁に張られた4~5mmの2本組み針金を頼りに進む。こういうところ、だからイヤやゆうたでしょうが…(泣)
独り言を言いながら、立ち止まらないように進む。立ち止まると次に進みだすのにかなりの精神的エネルギーが要るからだ。

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対岸の新越沢の滝を見ると大タテガビンから滝が落ちてくる。頭の上から落ちてくる感じ。大雨の後だったらどうしてたんやろ。
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大ヘツリをヒヤヒヤで通過。木道が整備されてなければとても歩けない。
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別山谷の雪渓には仮梯子が架けられ、グラグラ揺れながら雪渓に上る。ちょうど阿曾原小屋のスタッフが滑り止めに雪渓の氷を削って道を整備中だ。お礼を言って進む。
「もう、コワイところないですか?」
「そうですね。白竜峡のヘツリくらいかな?気をつけて」

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またの不安定なハシゴを渡って河原近くまで下ると白竜峡。後ろの二人がやってこない。もう正午を回っている。どうやら途中で昼食かな? こちらもメシにしよう。途中で追い抜いた男性ペアもやってきて一緒に昼食休憩。
一休みの後、二人もやってきて再スタート。(コワイところってどこかいな?)

…………

とてもとても、カメラは収納したまま(><)

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13:40
で、ヤットコサやってきました十字峡!
河原に降りるルートがあるらしいのだがそれどころではない。つり橋をユラユラ渡る。しっかりした橋なので危険はないが高度感はある。
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まあ、橋の上でこんなパフォーマンスできるのも若さのゆえか!
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Nを待つ間ひと眠りのK。

さあ、急ぎましょう。まだ3時間は掛かりそうだ。
なのにこんな断崖の道。ヤツラはスイスイのようだがこちらは緊張の連続だ。この高所恐怖症候群、特効薬ってないんだろうか。だれか開発したらゼッタイに儲かると思うけどなあ?
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白竜峡を過ぎたのでもう大丈夫~♪
と思ったら大違いだ。半月沢のトラバはいっそう高度感が増して半端やない!!!
こんなところに、よう道つけたわ…と頭が下がる。
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またまたシャワーのトンネルだ。岩壁にへばりついて通過すればそんなに濡れずにすむ。
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S字峡の対岸に関電発電所の送電線出口。
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川に向かって下るとまたも吊り橋だ。この橋、長さは十字峡の橋の二倍はありそう。ソロシソロリと渡る。真ん中までが長い(><)
渡り終えると車道のような広い道になる。
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ブラブラと仙人ダムまではすぐだ。
ダムを渡って、施設内通路を潜って剣方面への道と別れ、阿曾原へ向かう。
ええっ!また登り返すの~(泣)悲鳴をこらえて急登をヒイコラヒイコラ。
登りきったところでNはついにギブアップ。カカトの豆がつぶれそうらしい。K持参のテープで患部をテーピング。これでまず大丈夫でしょう。
後は水平な道を進みトロトロと下りると建物が見えてきた。思ったより早く阿曾原温泉小屋に到着。ダムから9時間半も掛かってしまった。

あら!小屋の受付に闘莉王がいる。あのレッズのイケメン!
…と思って良く見たら、別山谷で雪渓を削ってた小屋のスタッフだった。それにしても似てる!
今度はルイちゃんが顔を出す。ああ、黒木メイサのルイちゃん。オマケに女主人は浅田美代子やないか!(どうなってるんや、この小屋? ん?どうかなってんのはおまえのオツムやろって?そうかも…)
ここは浦和でも東京のTV局でもないもんね…。(><)

風呂が先かメシが先か…
まともやこんな論争が再燃しそうな雰囲気だ。6時半までは女性の入浴時間。その間にメシにしようと言うN。しかし風呂を済ませてからユックリ食事にしたいと思うのがあとの2人。結局ここも多数決の原理でNは空腹をガマンする羽目になったのだった。
汗や滝の水で濡れた衣類などを乾燥室に干したりしているうちにお風呂オープン。もうすっかり暗いのでヘッデンをつけて河原近くの露天風呂へ降りる。この風呂、地形図にも温泉マークが載っている。小屋からテント場を通って数分で行ける。
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ちょっと失礼~♪

お風呂のあとはお待ちかね~!
今夜の泊り客は4組9人だけ。それぞれ一部屋ずつ使わせてもらえてホテル並みだ。
我々は素泊まり。自炊スペースも食堂のテーブルを貸していただく。
出発時に仕入れた豚肉を毎晩加熱してここまで担いできた。やっと豚スキができる。アップルランドで仕入れた野菜(タマネギ、ハクサイ、シメジ、コンニャク、丁子麩)をナイフでぶつ切り。テーブルに置いたガスに点火、コッヘルへほおり込む。
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すき焼き用タレで味付けして完成!さあ、食べよ!
その前に乾杯! これも小屋のビールを買うんでなく、担いできて小屋の水道で冷やしておいたものだ。
しかしレトルトのご飯がまだ温まらない。Nはもう、ガマン限界だ~!
「ご飯だけもらえません?」
なんとアツカマシイ要求。これでは素泊まりにならんやないか!
ところが浅田美代子は気前がいい。「ええよー!いくつ要るの、3つね~♪」
なんと銀シャリをお椀に盛ってお恵みいただいたのだ。
Nのニンマリした顔がやっと見られた一瞬である。
お腹が満たされると心も円満に~♪ 同行の男性ペアのお1人がナマ歌まで披露してくれる。

【14日】
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予定通り5時過ぎに起きて温泉に。朝風呂はまたサイコーだ。
お湯はこのトンネルの奥から引いている。ダム工事の際に突き当たった高熱岩盤に温められた地下水だとか。詳しくは吉村昭氏の小説を読むべし。
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トンネルに入ってみた。硫黄の匂いが少し。30メートルほど入ると湯気の中に温水プールがあった。ここから10センチほどのゴムホースが外の湯船まで伸びている。

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風呂上りの朝食を腹いっぱい食べて最終日の出発。
小屋前でスタッフのみなさんと記念写真。闘莉王が撮ってくれたのが美女とイケメンの麗しいこのショットだ。阿曾原小屋へ行きたい方、10月下旬までしか開いてませんのでお急ぎください。

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今日は水平歩道を欅平まで下るだけだ。なのに地図には5時間とあるのはなんかの間違い?
と思いながらいったん河原近くまで下り、また阿曾原谷を巻くように急登が始まる。30分ほど登るとco950~1000の水平道に戻る。振り返ると阿曾原小屋やテント場が見える。川とは少し離れていて樹木も多いので高度感はない。ずっとこんな感じならいいのに~♪

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しかし、やっぱり崖が迫ってきた。折尾谷を越えるとまたも逆コの字型ヘツリ道が現れる。最悪はヘアピンカーブの大太鼓。こんなところなのに、こんなプレートが!展望台?撮影なんかしてる場合か!(といいながら片手でワイヤーに掴まりながらシャッターを押している)
やはり昨日と違い高度感がマヒしているみたい。
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お向かいの岩壁(奥鐘山西壁)は「黒部の怪人」らしい。そういえばずっと前に「黒部の巨人」を見たなあ…?ああ、ずいぶん前と思ったけれど昨日の朝やった。緊張の連続で記憶も液状化してる。
志合谷は150mのトンネル内を通過する。真っ暗。ヘッデンを点けていても水浸しの足元が危ない。足元に気を取られていると頭を天上の岩にゴッツン! ここ、ゼッタイヘルメットが必要ですからお忘れなく。(ちなみにトンネルを含め全行程で30回以上ゴッツンしました)
ここを過ぎれば安定した水平道。そろそろ旅の終着点だ。
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この角度からの白馬連峰や鹿島槍も見ものだ。

欅平駅からのアナウンスが聞こえて来ると終点は間近。分岐から一気に下ると30分足らずで駅の横に出た。
水道で顔を洗い3人そろったところで昼飯代わりの天ぷらそば。Kと私は当然アワワ付だけどね♪
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初めてのトロッコ列車で宇奈月へ。あと、いろいろあったけれど省略。黒部から北陸高速を深夜割り利用で京都東に0時10分。二人を送って我が家に着いたのは2時前でした。ああ、しんど~(泣)

お二人さん、来年はどこにしようか?
Commented by Chika at 2009-09-25 21:00 x
んー、10月の連休候補なんですが、、、
ココは防水カメラを入手するまでガマンしたほうがいいかな・・・
今年はいつから雪渓通行可だったんですか?
雨が多かったので例年より早いほうだったんでしょうか?

来年は秘湯つながりで高天原どうでしょう~
実はワタシが一番行きたい場所。。(笑
防水カメラもってイケメン盗撮に行きますよ!^^;
Commented by yagi&shige at 2009-09-25 21:06 x
 後編はまだかいな?と覗いてみたらアップされてるではありませんか!

やっぱ、この廊下、1度は歩いてみたいですよね。ええとこや~
私は♨入りそびれたしもう1回行ってみたいな~

吊り橋の真ん中で何やらやってるお方、吊り橋掛け替え工事に来ているオッちゃんかと思いましたわ、、、
それに、素泊まりでご飯をもらえないかって!! そんな仲間を持っていたらいざという時心強いですね。(笑)

SWは東北の山に行ってきましたよ。100名山終わった時、200はやらんと思ってたけどやっぱりついつい意識してしまう、、、ま、気の向くままに行きますわ。行きましょね。



Commented by 温泉玉子 at 2009-09-25 23:17 x
岩壁を削った道は怖そうですね、下見たら足が竦むでしょう。
でも吊橋で遊びたい気持ちは分かります、歩み板張ってるとそんなに怖くは無さそうです。

最近biwacoさんは遠征か沢が多いですね、もう鈴鹿もヒル居らず良い時期ですよ。
Commented by マーファミリ♂ at 2009-09-27 17:32 x
イケメンはさておき、下の老化(変な変換になってもた)、改め、下の廊下はガイドブックでしか見たことありませんが、スリリングないい所ですねえ。
北アルプスの有名所を制覇したら行きますか。
ところで、吊橋で飛んでいる人は、トビの方ですか?踏み板を蹴破らないように注意してくださいよ!
大普賢岳行きましたが、もう紅葉が一部始まってましたよ。
紅葉の美しい山を教えてください。


Commented by たろー at 2009-09-28 21:52 x
謹慎中と思ったらいい事してますね~。
紅葉が始まりましたが、なかな行き先が絞れません。
Commented by biwaco06 at 2009-09-30 21:15
Chika ちゃんちゃんこ~こんばんはっ!
返事、いつもどおり遅くなってスンマセン~(><)
他のみなさんも、ゴメンなさ~い
阿曾原小屋は10月いっぱいやってるそうです。温泉、いいで~!
防水カメラはイカガワシイ目的以外なら必要ないようですが…?
高天原には露天あったっけ?
Commented by biwaco06 at 2009-09-30 21:26
yagi&shige婦唱夫随さん~
おっしゃるとおりの傍若無人のバカモノばかりです…(><)これを機に縁を切ろうかと思いもしましたが、これが腐れ縁というものでして…。
東北くんだりの山までダンナを引きずり回すなんて、yagiちゃんも相当のイケイケ♀ですなあ!ホンマ~(笑)
Commented by biwaco06 at 2009-09-30 21:31
温玉王子サマ~
近いのにお久しぶりですね~。下の廊下は登りがないので(ちょっとはあったけど)体力的には楽です。まあ、下さえ覗かなかったらヤバイところはありません。でも、高恐の爺はビビリどおしでしたけど。(泣)
秋の日帰りは鈴鹿ですね、やはり!
Commented by biwaco06 at 2009-09-30 21:40
マーファミリ♂ さんさん~
ここは下の老化でもうこの世に未練のない爺が行くところですわ(泣)
これから子孫繁栄に貢献すべき若者はトビのマネなどしていてはいけません!ナノニ、Kのヤツ…!またいつか対面させますので、いい相手でも見つけてやってください。
ヤツ…いや八ヶ岳、お気をつけて~♪
Commented by biwaco06 at 2009-09-30 21:48
たろーさんだろー?
なにゆうてんの!なんていわないいわない。
謹慎中?どこでそんなウワサが流れてるんですかいな?そんなイケナイことやらかした覚えはないんですが…
悩むより先に行動に移すたろーさんが行き先に迷ってるなんて、似合いませんね~(^^)

ところで、26,27日と空木へ避難小屋一泊で行ってきました。足がガクガクです。レポはそのうちに~。
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by biwaco06 | 2009-09-25 02:05 | 北アルプス | Comments(10)

近畿中心の山を歩いた気まぐれなmt.memoryです


by biwaco06
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